『世界のしくみが見える世界史講義』 (ヒカルランド)

アマゾンにレビューを投稿しましたので、以下編集の上転載します。


1, 概要
ベストセラー『経済は世界史に学べ』(ダイヤモンド社)でおなじみの茂木誠先生による世界史入門書である。

世界史入門」と名がつく書物はたくさんある。だが、その多くが単なる事実列挙に終わっているように思える(もちろん良書もあるにはある)。というのも、世界史はその科目の特性上扱う情報量が多く、入門書と言えども、高校で習う標準的な範囲を網羅しようとすると膨大な情報量になる。一般書は紙幅が限られているので、結果的に、因果関係や背景をあまり丁寧に説明できず、各国史を浅くまとめたものが世界史入門書として書店に並んでいる。

そこで、本書では著者が特に重要だと思う分野を選別し、それ以外の範囲はバッサリと切り捨てた。なので、本書は世界史の中でも現代人の我々にとって絶対に知っておくべき内容をピンポイントに深く解説している。

ところで、全範囲を網羅していないのに世界史と銘打っていいのか?という疑問もあると思うが、著者も指摘するように時間の限られた現代人にとって学ぶべき世界史は、数ある古代インドの王朝名を覚えたり、アルサケス朝・アケメネス朝の違いを理解するといった細かい知識ではないのである。世界史の中でも本書で扱っている日中・日韓関係史、一神教、西洋史(ギリシャ・ローマ、中世、近代)、アメリカの成立過程など、世界史の中で外すことのできない最重要分野こそ、我々が学ぶべき世界史なのである。全範囲を網羅しないと世界史を学んだことにならない!といった強迫観念に駆られる必要はないということである。

2, どんな人におすすめか(本書を読むとどんなメリットがあるか)

世界史を学びなおしたい社会人
新聞を読んでいても、国際面にはあまり目を通さない人、あるいは、他国の人と仕事をするにあたって最低限の世界史の知識を得たい人におすすめである。受験世界史とは違い、本書は世界史の中で一番ためになり、面白いところを扱っているので、読了後には東アジアとの歴史問題・中東問題・アメリカ政治情勢などのニュースを見聞きした際にとても身近に感じることができる。

受験生(大学受験生 or 超難関高校受験生)
特に世界史は丸暗記ばかりで何の実利があるのか疑問に思う人、あるいは、古代史あたりですでに挫折している人にはおすすめである。本書は世界史の一番重要なところを拾っているので、世界史全体の概要がわかるばかりでなく、世界史は現実社会でも非常に役立つ科目だと実感できるだろう。

★3, 補足情報(より深く世界史を学びたい人へ)
ちなみに、著者のウェブサイトにアクセスすると、合計約60時間に及ぶ講義音声を聞くことができる(無料)。著者の『センター試験 世界史Bの点数が面白いほどとれる本』(中経出版)を手元に置いて聞けば、さながら予備校で授業を受けている感覚が味わえるだろう。また、講義音声ファイルはmp3形式なので、音楽プレーヤーに入れ、通勤・通学時間に聞くこともできる。受験生にはもちろんのこと、一般人が聞いても十分に満足いく内容なので、ぜひ一度アクセスすることをおすすめする。

⇒「もぎせか資料館」で検索

★4, 著者及び出版社へのご提案(今後の期待を込めて)
・図解やイラストをもっと豊富に取り入れると活字が苦手な人でも気軽に読めると感じた。
・重要な用語は太文字にしたり、あるいは、全体的にカラフルにする方がより読みやすくなると思った。
・受験生向きではない本格的な近現代史の本を出してほしい。
⇒というのも著者は世界史だけでなく、日本史や思想・哲学にも明るい。近現代史を本格的に書きあげるには、総合的な知力が求められるが、著者にはそれができると思う。特に、受験ではあまり出題されないであろう現代史を濃密に記述した分厚い本(400ページから500ページ程度)を出してほしい。今年は戦後70周年なので、歴史に関心を持つ人が多いため、値段が高くても近代史を詳しく解説した本は需要があると個人的には思う。


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